「気」を植える : オンリー1、ナンバー1

台風被災地レイテでのオイスカの挑戦

海岸べりに植えられたタリサイの木。「オンリー1」、「ナンバー1」を目指して地道な取り組みが始まった。タナウアン町カブイナン村(州都タクロバン市から南へ約40分)で。

文・写真 / 石橋幸裕

___「Small but terrible」(小柄だけど、いいヤツ)。フィリピン人が私を傷つけないように褒め称えてくれる時によく使われる言葉です(「いい」の部分は大河ドラマの主人公ではありません。「偉そぶらずに、謙遜し過ぎずに」、という意味でこの表現を選択しました)。

___私が属しているNGO「オイスカ」は1961年に設立され、主にアジア太平洋諸国の発展途上国の「人づくり」「国づくり」に携わっています。具体的には、(有機)農業をベースにして、各所にパイロット・ファーム、農林業研修センター、植林プロジェクトを立ち上げ、グラスルートの人々の自助努力による生活改善、地球環境の緑化を目標としています。

___私自身は、福岡市に位置する西日本研修センターでの8年強を挟んで、1990年以来フィリピンにおいて活動しています。その歩みは「子供の森計画」(学校植林プログラム)の発展とともにあり、現在34か国、5000校近くに参加校数が達したプロジェクトのスタートから関わってきました。同計画の礎は、フィリピン・ミンダナオ島北サンボアンガ州における植林プロジェクトの様々な経験にあります。そこで得た確信が、木を植える「気」を人々に植え付けることが重要であり、そのためには(回り道になるようで)、「子ども」の頃からその「心」を育んでいくことが成功への道筋となる、という結論でした。即ち、「子供の森計画」は究極の植林プロジェクトに他ならないのです。その25周年記念式典が昨年8月ロブレド副大統領同席の下、フィリピン文化会館において開催されました。

___さて、私の再赴任のきっかけとなったのは、2013年11月レイテ島等を襲ったスーパー台風「ヨランダ」でした。7000人以上の人々が亡くなる大災害になったことは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。私は、日本外務省NGO支援スキームの復興プロジェクトのひとつ、レイテ島のマングローブ、「タリサイ」と呼ばれる代表的な海岸林の植林、有機農業のパイロットファームに傾注しています。現地レイテのNGO、オイスカ研修生OBらのスタッフに支えられ、地元天然資源省の各種アドバイスを得ながら、プロジェクト期間の中間地点を過ぎたところです。

___プロジェクト進行は「トライ・アンド・エラー」の繰り返しです。そんな中、私はタリサイの植林プロジェクトに大いなる希望を見出しています。オイスカは前述致しましたように、フィリピンを含め各国の山、海で植林プロジェクトを実施しています。そのやり方は、ともかく「植える」ことで、山間地の植林であれば、あとは「雨を祈るばかり」でした。当タリサイ植林も1年目はそうでした。結果は生存率20%程度でした。しかし、2年目になり、乾季に植えるようアドバイスされていたところを雨季(6月~11月)に植え、施肥(有機肥料)、敷き藁を1本1本の苗に行っています。有機農業のお手本をタリサイ植林で実施しているのです。私自身も出来るかぎり参加していますが、正直大変です。しかし、その甲斐あってか、80~90%苗木は活着しています。「Small but terrible」なのです。私は少なくともフィリピン国内で、千本単位の海岸林(タリサイ)が育っているのを見たことがありません。もしかすると、「オンリー1」、「ナンバー1」の海岸林プロジェクトになるのでは? 夢を見ながら、明日もレイテに行きます。

            (いしばし・ゆきひろ)

植林に参加していただいた住民にお礼の意味を込めてお米を渡す
マングローブを一本づつ植えていく筆者
レイテ島のマングローブ植林プロジェクトの仲間たちと(中央が筆者)
レイテ島のマングローブ植林プロジェクトの仲間たちと(中央が筆者)

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「僕のNGOライフ、その光と影―フィリピンでの「子供の森」計画 」

石橋 幸裕著 (2005年 文芸社刊)

 

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