インタビュー

「私とフィリピン語」
英語に比べると、まだ日本人でフィリピン語ができる人は少ない。そんな中で職場や普段の生活でフィリピン語を使っている日本人の方に、フィリピン語との出合いや、話せるとどんなメリットがあるかを聞いてみた。

フィリピン語が話せれば 
フィリピン人の「壁」が低くなる

 

デセンブラーナ悦子さん
英語・フィリピン語・日本語通訳。
大阪外国語大学インドネシア・フィリピン語学科卒業、フィリピン語専攻

 

幼稚園の頃、テレビで「セサミストリート」を見て英語に興味を持ち、高校時代も英語が得意でした。でも大学では人とは違う言語を学びたいと思い、大阪外大のインドネシア語専攻に進みました。当時は学科内でコース変更できたので、実際に授業に出て、フィリピン語に興味を持ち、専攻を変えました。フィリピン語はフィリピン人の先生から直接学ぶことができ、エドサ革命に関わった学生等との交流もありました。3年次にはフィリピン大ディリマン校に1年間国費留学しました。その後1992年にフィリピン人と結婚してマニラに移住。今は日常生活ではほとんどフィリピン語を話しています。
フィリピンの人はフレンドリーですが、実は日本人以上に内と外を分ける心の壁があります。しかしフィリピン語を話すことでその壁が低くなり、信頼を得ることもできる。また近年は日本にとってフィリピンの重要度が高まり、リサーチ等でフィリピン語から日本語への通訳場面も増えています。さらにフィリピン語の必要性を実感するのは、災害時です。政府機関からのメッセージは全国民に知らせるため、フィリピン語。こうした点もフィリピン語を学んで役立つことといえるのではないでしょうか。
フィリピン語は母音がシンプルで聞き取りやすいので日本人には始めやすい言語です。またkatokという「ノックする」という単語のように擬音語から成り立つ語も多くあり、感覚に訴えてイメージにつなげやすいことも特徴です。外国語学習には文法中心の方法とコミュニケーション中心の方法がありますが、習得のコツは耳から聞いて話すこと。文法は必要に応じてチェックする。耳から聞いて、目で確認、口で話して、自分で聞くのが効果的です。またフィリピン語を学びたいことをフィリピン人にアピールすれば、きっと協力してくれると思います。

 

 

なじみやすい発音
難解な文法をモノにする楽しさ

 

小池ゆかりさん
大阪大学外国語学部フィリピン語専攻卒業。フィリピン人向け日本語教育事業のマネージングを本業としながら、マニラの魅力を発信する「まにら部」メンバーとしても活動。ブログhttps:note.mu/yukariph Twitter@yu88ka88ri

 

 

幼少時代から英語が好きでした。しかし、大学での進路選択ではニッチ志向で「あまり人がやっていない外国語」「学習者が少ない方が重宝されるはず」という思いがありました。そして当時から来日するフィリピン人が増えていたこともあって「中国語の次に注目されるのはフィリピン語に違いない」と、フィリピン語を専攻しました。
マニラに来たのは2017年7月。仕事では主に英語と日本語を使っていますが、フィリピン人の同僚とはフィリピン語で会話をしています。フィリピンでは思った以上に英語が通じると知って、私自身、フィリピン語を学ぶモチベーションがなえそうになったことがあります。しかし、フィリピン語を話す外国人に出会うとフィリピン人は興奮しているように喜ぶ反応を見せてくれる。そうした体験がフィリピン語を学ぶ意欲や、フィリピン人とのコミュニケーションを深化させることにつながると思います。また「実用性」という面では、タクシーに乗る時にフィリピン語を話すとぼったくり防止になるということもありますね。
フィリピン語はローマ字読み、カタカナ読みができるので、発音の観点からは日本人にはなじみやすい言語です。Di ba?(ですよね?)やSayang.(残念、もったいない)など簡単で便利な表現をどんどん増やしていくと楽しいです。一方で文法は難しい。例えば文のどこに話題の焦点を置くかによって、動詞の接辞が変化します。この接辞をうまく使い分けるのが醍醐味でもあります。
私はフィリピン語と英語が混じったいわゆる「タグリッシュ」もれっきとした一つの言語だと認識しています。文章の中で、フィリピン人はどこをフィリピン語で話し、どこを英語で話すのか? 法則はあるのか? と興味深く観察しています。フィリピン語もタグリッシュも「外国語マニア」にとって学びがいがある言語です。

 

「必要に迫られない」から
やる気を出して習得すべし

 

大沢 義生さん
アニラオ・ヴィラマグダレナ・ダイビング・リゾート(バタンガス州 https://divemagdalena.com)経営。中央大学総合政策学部国際政策文化学科専攻卒業。日本福祉大学大学院国際社会開発研究科修士課程修了。PADIマスタースクーバダイバートレーナー・インストラクター

 

 

学生時代に関わっていた青少年教育・支援の非政府組織(NGO)がフィリピンと関係があり、この国についてもっと知りたいと思ったことがフィリピン語を学ぶきっかけです。上智大学のフィリピン人留学生から数回フィリピン語を習ったことがありました。大学卒業後に出版社に勤務した後、NGOの初代事務局長として関わってきたので、フィリピンとの関係は約25年になります。NGO退社後の2004年に生活の拠点をフィリピンにするつもりで来比し、アニラオのパシフィックブルーダイブセンターで勤務した後、2014年に現在のダイビングリゾートを設立しました。
フィリピン人スタッフともっとコミュニケーションを取りたいと思ったことも、フィリピン語を学ぶ動機です。現在一緒に仕事をする約10人のフィリピン人スタッフへの業務の指示等は、すべてフィリピン語で行っています。私の奥さん(日本人)もフィリピン語が堪能で、夫婦でフィリピン語で内緒話をする時もあります。
私の体験からのおすすめの勉強法としては、文法の基礎はテキストで勉強して、あとは実践。英語を混ぜてもいいので、とにかくフィリピン語を話すといいと思います。フィリピンでは英語でも意思の疎通ができてしまうので「必要に迫られてやらなくては」と思わないのが、フィリピン語習得を難しくしていると思います。いったんやる気になってしまえば、他の外国語に比べるとフィリピン語はやさしいといえるのではないでしょうか。発音も日本人には比較的容易な言葉です。
フィリピン語ができると、英語でコミュニケーションをするよりもフィリピン人との距離は縮まります。これは特にタガログ語が話されるルソン島中部・南部でいえることで、セブなどではやはり現地の言葉を話す方がより緊密なコミュニケーションができると思います。

フィリピン語は世界21位、アジアでトップ
「最もセクシーなアクセントの言語ランキング」
Filipino is the Sexiest Accent in Asia

 

Illustration: Bylson C. Sy

フィリピン語学習者に朗報!? オンラインメディア「ビッグセブントラベル」による調査「世界で最もセクシーなアクセント上位50」で、フィリピン語は世界21位にランクされた。これはアジアの言語の中でトップの順位で、「やさしくソフトなアクセントをフィリピンで聞くと、まさに心地いい」との評価。ほかのアジアの言語は、べトナム語25位、インド語26位、マレーシア語39位、日本語42位、中国語(普通話)43位、タイ語48位だった。
セクシーなアクセントの世界トップ10は、1位ニュージーランド、2位南アフリカ、3位アイリッシュ、4位イタリアン、5位オーストラリアン、6位スコティッシュ、7位フレンチ、8位スパニッシュ、9位米国南部、10 位ブラジリアン・ポルトギーズ。
英語はニュージーランドやオーストラリア、米国南部のアクセントが上位にランクされる中、クイーンズイングリッシュは12位だった。(「フィリピン・スター」紙5月4日付)
Great news for Filipino language learners!? According to the survey ‘Top 50 Sexiest Accents in the World’ by Big 7 Travel website, Filipino is ranked 21st

in the world and 1st in Asia. The website praises the Filipino accent as gentle, soft and lovely. Other Asian languages are Vietnamese 25th, Indian 26th, Malay 39th, Japanese 42nd, Standard Chinese 43rd, Thai 48th. The top five sexiest accents in the world are 1st New Zealand, 2nd South African, 3rd Irish, 4th Italian, 5th Australian.

 

フィリピン人に聞いた「フィリピン語vs.英語」
日常生活の中でフィリピン語と英語を使うことを、フィリピン人はどのように思っているのか。マカティセントラルスクエアで働く25人に聞いてみた。

 

フィリピン語と英語、
毎日の会話でよく使うのは?

見事25人全員がフィリピン語と回答。外国人がいる職場などでは英語を使っても、やはり日常生活では圧倒的にフィリピン語を話すことの方が多いようだ。ある回答者は「全員がフィリピン語と答えるはず」と予想した。そして「家ではフィリピン語を話すし、マニラにいるんだからよほど外国人が多いとか、特殊な環境にいるのではない限りフィリピン語での会話が多くなるのは当然」とコメント。

普段話す時はフィリピン語と英語、どちらで話すのがいい?

フィリピン語という回答が大多数を占める一方、タグリッシュ(Taglish)という答えもめだった。「フィリピン人同志に限らず、外国人と話す時もタグリッシュでコミュニケーションが円滑にできる」 という声も。確かにフィリピン語がわからなくても、会話中に混じる英語を聞けばなんとなく言いたいことがわかる気がしないでもない。英語と回答した人に理由を聞くと「英語はグローバルな言語だから」とのこと。

 

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