パシグ川と マニラの地名 Filipino World

名称未設定 1 みなさん、こんにちは。Kamusta Kayo?マニラを流れるパシグ川は、今では世界一汚い川の一つとまで言わるほどですが、昔は人々に愛される川でした。フィリピンの英雄ホセ・リサールも、小説「エル・フィリブステリスモ」に、パシグ川を登る蒸気船から眺める情景や伝説を書き記していますし、19世紀頃パシグ川につながる運河を舟がのんびりと行き交う様子は「リトル・ベニス」と讃えられたほどでした。

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世界中の他の都市と同様、マニラもやはり川の流域に発展してきたため、地名にも川にちなんだものが多く見られます。
例えばマニラ(Manila)はMaynila(マイニーラ)とも呼ばれています。その由来は「マイ・ニラ(May nila『ニラのある所』)」で、ニラというのは白い花を咲かせるマングローブの一種です。パシグ川の河口にも、昔はマングローブが多く生えていたのでしょう。
マカティも川に由来する地名です。語源の「カーティ(kati)」は、川が「引き潮で浅くなる」という意味です。これを同じ綴りの「痒い(makati)」だと思っている方がありますが、これは勘違いで、地名の方は「マカーティ⤵」とゆっくり読んで語尾を下げるのに対して、「痒い」の方は「マカティ⤴」と早く読み語尾を上げる別の言葉です。
マカティの対岸はマンダルーヨン。Daluyong(ダルーヨン)は「高潮」という意味で、本来「マダルーヨン(高潮がよく起こる)」だったものが、スペイン人が間違って記録したと言われています。昔パシグ川を逆流して高潮が来たことがあったのでしょうか。
さて、そのお隣はパシグ市です。由来は川の名前そのものですが、pasigの語源も諸説あり、サンスクリット語のpasega「砂」またはpasi「岸」が語源だろうと言われています。パシグの対岸にはパテロス(Pateros)がありますが、パテロスは「アヒル(pato)を飼う人達」という意味です。このあたりは昔から川に近い湿地帯を利用してアヒルが飼育され、その卵をバロットや塩漬け卵として加工するのが盛んだったのです。
また面白いのは、地名の由来として恋愛伝説も語り継がれていること。例えばパシグは、パズという娘とスペイン人の恋人が舟に乗ったところ、パズが川に浮かぶ花を採ろうとしたため舟が転覆し、恋人がスペイン語で“Paz, sigueme!”(パズ、僕についておいで!)と叫びながら溺れたという、ちょっと情けない伝説から名前がついたという説もありますし、マンダルーヨンは、美しい娘マンダをみそめた貴公子ルーヨンが試練に打ち勝って恋愛を成就させ、一緒に住んだ場所だという説もあります。
さて、このマニラの周辺地域に住んでいた民族がタガログ族です。タガログ族の言葉がタガログ語、現在のフィリピン語の元になった言語です。タガログ(Tagalog)の由来はTaga-ilog (タガ・イロッグ「川の出身の人々」)ですから、やはり昔は川は人々の暮らしと深く関わりがあったことということの表れでしょう。

3文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。

 

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