Jeepney Restaurant

「ジェリーズ・ジプニー」ケソン市マギンハワ通りポップで魅力的な街 かとう・しょうへい(マニラ新聞記者) 文と写真by 加藤昌平

ジプニー群こそがこのレストランの特徴でシンボル首都圏ケソン市にあるケソンサークルに隣接するマギンハワ通り。近年、若者たちが表現の場を求めて集まり、ポップで魅力的な街へと発展しつつある。通りには斬新なアイディアにあふれた飲食店が軒を連ね、にぎわいを見せている。その一画にひときわ目立つ風変わりなレストランがあった。 店の前にはカラフルにデコレートされたジプニーが並ぶ。どうやらジプニー運転手御用達の店か、と思いきや、なんとジプニーの内部にはテーブルが。そこにどしんと置かれたフィリピン料理。それを取り囲むように座る客。そう、このジプニー群こそがこのレストランの特徴であり、シンボルなのだ。店名は、その名も「ジェリーズ・ジプニー」。オーナーが元ジプニー運転手だったとか。 店の敷地には明かりがこうこうと付いて、薄暗くなりつつある夕暮れの中で、その一画だけにぎわいを失わない。店には若者グループだけでなく、老若男女さまざまな客層がひしめいていて、その人気をうかがわせる。 ずらりと並ぶジプニーにはそれぞれ特徴があり、好みのジプニーに乗り込んで食事する。車両の上にスーパーマンが飛んでいる「スーパーヒーローズ・ジプニー」や、上半身だけで飛び回るフィリピンの妖怪(アスワン)が出迎える「マナナンガル・ジプニー」など、種類はさまざまだ。 記者がこの日、選んだジプニーは「マブーハイ・ジプニー」。フィリピンの英雄ホセ・リサールがサングラスを掛け、ご機嫌な姿を見せる。内部は白を基調にシンプルな作りだ。 料理は一般的なフィリピン家庭料理。バナナの葉を皿にして、バーベキューやスープなどが豪快に盛られている。コースメニューには「キアポ」「クバオ」「アヤラ」など、首都圏の主要地域の名前が冠されている。一つのコースは2〜4人分の分量で、価格は680ペソから最高で1680ペソまで。単品でも注文できる。

map記者が選んだのは最もリーズナブルな「キアポ」コース(680ペソ)。ライスの味付けはプレーン、バゴオン(小エビの塩から)、ガーリックのリピン特有の海魚バングースの塩焼き、エンサラダン・タロン(ナスとソルティエッグのサラダ)、シニガンスープがメニューに含まれている。 注文して数分後、テーブル一面に敷かれたバナナの葉に、どっさりと料理が盛りつけられた。料理全てが一度に盛られているので、何から手を付けて良いか迷う。ぜいたくな悩みだ。 ポークバーベキューはくしに刺して、甘辛いたれで焼かれている。バングースの焼き魚は、一匹丸ごと出される。焼き色が見た目にも香ばしそうだ。 スプーンとフォークが出されるが、ここはフィリピン流にならって手で食べてみる。焼き魚の身をほぐし、あつあつの米と一緒にすくいとって口に入れる。道具を使って食べるより数段美味しく感じるのは、気のせいだろうか。 バーベキューと焼き魚を交互に食べる途中でエンサラダン・タロンをごはんと一緒にほおばると、口の中がすっきり。再びメインの肉料理に取りかかることができる。 自分語りになって大変おこがましいが、記者が最も好きなフィリピン料理はシニガンスープだ。サンパロックという酸味のきいた果物の果汁を絞って入れるため、非常に酸っぱいスープになる。フィリピンに来て初めて飲んだ時は、今まで経験したことのない味に一瞬思考が停 止した。ところが、しばらく飲みつづけると、この酸味がやみつきになる。以来、シニガンスープが好物になった。 ジェリーズ・ジプニーのシニガンスープはいたって普通だが、やはりフィリピン料理には欠かせない。がつがつと料理を平らげた後、締めのシニガンスープを飲むと、急に満腹感が 襲ってきた。 食事を終えてレストランの外に出ると、辺りは暗くなっている。通り沿いには街灯がともり、人通りもまばらになっていた。それでもジプニーレストランは客で埋まっており、いつまでもざわめきが途絶えない。フィリピンらしさと斬新さが混ざった楽しいひとときを過ごすことができる、おすすめの店だ。 ナビ・マニラ第23号[Navi Manila Vol.23]より

お店情報 「ジェリーズ・ジプニー」 Gerry’s Jeepney Restaurant
7-B Maginhawa Street, UP Village, Diliman, Quezon City Tel. (02)4356824

 

マブーハイジプニーフィリピンの英雄ホセリサールがサングラスを掛けご機嫌な姿

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